久しぶりの説法も、近頃のように雑事に追われているとまとまりません。今年は、遠方に出かける機会が多く、6月には、初めてアメリカ本土、しかもニューヨークに行く事が出来ました。マンハッタンの5番街、予想以上に大きな街だとの印象を受けました。随分、以前に、現代にも通用する街づくりが為されていることが、まず驚きでした。日本の街づくりや都市計画は、場当たり的で、随分無駄をしているようです。もう数年になりますが、法人会の研修会で税務署の方が、「公共事業は無駄な工事が多いとの批判は強いのだが、それによって建設関係の会社は成り立っている」という意味の発言をなさったような記憶があります。随分前のことですから、記憶は定かではありませんが、同じところを掘ったり埋めたり、そのために交通渋滞で、約束の時間に遅れたこともありました。近頃は、昔の事を詮索して、会社や公団のトップが逮捕されるという報道が続いています。
 郵政民営化の問題は、中身より駆け引きの材料が中心で、何のためにやるのか、それによって国民の幸せがますのか、という議論はそっちのけです。公聴会もやらねばならぬからやるので、それによって改善されることはなさそうです。
 国民不在もいいとこです。私自身、郵政民営化に賛成か反対か、然と判断する材料が不足です。特定郵便局の局長さんから「民営化になったら、田舎の郵便局は消えてなくなりますよ」と聞けば、それもなるほどとうなずけます。無理をしてまで民営化しなければならない訳はあるのでしょうが、それによって儲かる人はたくさんいるはずです。介護保険ができて、ケアーマネージャーという職業が生まれたように、郵便局が分割民営化されれば、一つの建物ですんだものが、いくつもの建物が必要になるでしょうし、看板も付け替えるとなれば、その費用でも大変な出費と思われます。
 「今のままでは悪い」から変えるのでしょうが、「こんなに良くなりますよ」ということへの説得に欠けるようです。
 私も現在、天台宗の中では宗務所長という立場にありますが、福岡佐賀長崎熊本4県に128の寺があり、その中に議会があり役職員がいて、必要な仕事をしております。定められたルールに従ってお世話をさせて頂きますが、公平であることは勿論、不必要な出費を押さえ、それぞれの寺院の立場に立って業務を進めていかねばならぬと思い、自分なりに努力しております。
 一つの物事をお願いするとなれば、誠意を尽くしてお願いし、それぞれの意向が出来るだけ生かせるようにと念じております。
 当然、指導性は必要です。あるべき方向はしっかりと見定めねばなりません。自分の見解はしっかり持っていなければ、人を説得することは出来ませんが、独善では誰もついてきません。
 今の世の動きを見ておりますと、自分のために事を為している人が多いと言わざるを得ない状態です。
 仏教の立場は、『「苦」であることが世の常で、しかも「無常」である。』とはいっても、悪い世の中を正すための努力まで放棄する必要はなさそうです。
 近頃、無力感にとらわれることが屡です。言わずにはおれないことは、山ほどあります。しかし「物言えば唇寒し」これでは猛暑を鎮めるどころか、ますます熱くなってしまいます。
 燃えるものを持っている幸せを感謝して、つつじ寺の和尚らしく、明日を信じたいと思います。
 紅葉をめぐって、動きが出てきました。久しぶりの説法、お読みいただいて有難うございました。